掲載日:2020年08月20日  更新:2020年09月02日

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アフターコロナの、マイクロジムにおける課題と対応②

マイクロジムにおいては、拠点のある自治体の休業要請が解除され次第、営業を再開したところが多く、5月中旬からアフターコロナのフィットネスがスタートしている。

【オンラインフィットネスの、デジタルマーケティング】

 福井で、マイクロジム「トータルコンディショニングセンター」を経営する有限会社パワーリンクは、民間のスタジオ運営受託や、カルチャーセンターへのインストラクター派遣、公共施設の健康教室の受託など、地域のグループレッスンをリードする存在だ。
 福井県ではもともと感染者が少なく推移していたが、緊急事態宣言が発令された4月16日から約1ヶ月間、民間クラブや公共事業でのレッスン提供が休止され、派遣しているインストラクターたちも休業を余儀なくされた。
 パワーリンクでは、この環境変化に即座に対応して、直営サロンをオンラインレッスン配信スタジオとして整備。配信時に音と動きがズレる「音ズレ」の問題にも果敢に解決策を探り、情報を共有しながら事業化を進めた。
 その後、外出自粛中でもフィットネス継続を促すことを目的に、フェイスブックで「1分間チャレンジ!!」を毎日配信。普段は民間クラブや公共施設で指導している派遣契約のインストラクターたちが順番に担当し、オンライン配信の指導経験が積める機会を創出した。この「1分間チャレンジ!!」はフェイスブックで配信しているが、配信スタートから30日が過ぎた頃から閲覧数と「いいね!」が増え始め、全国的に認知が高まり、地元福井でのジム会員数増にもつながっているという。この取り組みは、連続配信日数が100日を超えて、現在も継続中である。
 4月27日には、直営サロンからのライブ配信を週間スケジュール化。スタジオ運営を受託しているクラブも休業中にライブレッスンスケジュールを組み、配信ノウハウに加えて、オンラインでの集客についても、知見をためていった。
 オンラインでもオフライン相応のクオリティでのレッスン提供ができるようになり、5月7日には、料金体系も、オフラインと同一として、運営を続けている。

【オンラインサービスを融合させた、アフターコロナのマイクロジム運営へ】

 パワーリンクでは、休業要請期間中にも、メンバーや生活者への情報発信を継続したことから、直営のマイクロジムも、運営を受託しているクラブのスタジオも、営業再開後は順調に顧客が戻ってきているという。
 特に直営マイクロジムでは、休業前はオフラインのレッスンのみで月会費5,500円、マンスリーパス8,800円の設定だったが、営業再開後は、同じ月会費やパスで、オンラインレッスンも利用できることから、メンバーにとってはレッスン参加の選択肢が増え、体験価値が高まった。営業再開後に復会しにくい環境にあると言われる中高年層女性メンバーにとっても、オンラインで安心感を持って復会できることになり、メンバーの定着も促しやすい環境となった。
 パワーリンク代表の漆崎由美さんは、インストラクターの育成にも長く携わっており、休業期間中も、インストラクターやトレーナーたちの環境適応へのサポートを続ている。
 前述したオンラインレッスンのスキルが高められる機会を提供するとともに、オンライン勉強会を開催したり、生活を豊かにするトークセッションのライブ配信など、オンラインコンテンツの開発も進めた。また、契約インストラクターの持続化給付金の申請サポートや、各種の補助金や助成金にも、きめ細やかに対応して、インストラクターたちが安心できる経営環境の整備も進めていった。営業再開に向けては、感染防止の設備備品を揃えるとともに、インストラクターにとって必需品となるマスクの研究もスタート。運動指導者が安全に快適に指導にあたれる環境づくりにもイニシアチブを発揮して臨んでいる。
 現状のマイクロジムの課題としては、換気のために窓を開けることによる、防音の問題と、虫の問題など、これまでにない新たな課題への対応が進められている。
 公共施設での運動教室も再開し、契約インストラクターも、オンラインでレッスン指導を継続してきたことも、スムーズにオフラインでの指導継続に繋がっている。今後に向けて、漆崎さんはこう話す。「アフターコロナのフィットネスでは、オフラインでは感染予防の環境整備にお金がかかり、オンラインでも、音源をはじめ思わぬところでお金がかかります。持続化給付金が支給されて、少し安心できている状況の方も多いと思いますが、そこに安住せず、アフターコロナの仕事のために遣っていきましょう」


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