掲載日:2020/09/10  更新:2020/09/16

リモートワーカーのフィットネス定着策【3】

<株式会社タニタ>
自社の健康経営施策で開発した「タニタ体操」で、リモートワーカーの運動習慣づくりをサポート

始業前の「タニタ体操」で健康習慣づくり

 株式会社タニタは、自社の健康経営施策の一環として2018年から始業前に行っている3分半の「タニタ体操」を、コロナ禍の中でオンライン化。緊急事態宣言で外出自粛となった2020年4月から社員向けにインターネット会議システムでの体操をリモートでも取り組めるようにし、7月からはインスタグラムを通じて一般の生活者にも配信している。タニタでは8月現在もリモートワークする社員が多くいるが、コロナ禍以前と同様に、毎朝8:40になると、会社の席または自宅のパソコンの前で、タニタ体操習慣を継続している。一般生活者向けには、リモートワーカーを主なターゲットに8:30から配信しており、タニタ体操配信用のインスタアカウントには、現在までに180名強が登録、毎朝20名程度の参加がある。
 タニタでは、企業ビジョンとして、「健康習慣の継続をサポートすること」を掲げており、まず自社の健康経営施策として、社員の健康習慣づくりに取り組んできた経緯がある。そのため、リモートワークや外出自粛により危惧される健康二次被害についてもデータで把握しつつ、タイムリーに新しい生活様式での健康習慣づくりをサポートしてきている。同社ブランディング推進部広報課の名倉麻衣さんはこう話す。「弊社では、健康経営施策として、タニタ体操のほかにも、定期的な体組成や血圧、活動量の計測を行い、自身のからだに意識を向ける機会を設けています。社員証と活動量計を一体化させ、これをキーデバイスとしてオフィスに設置している体組成計や血圧計ではかると、データが自動でクラウドサーバに転送・蓄積されます。こうしたデータを閲覧したり、活用したゲーム性のある取り組みを実施したりすることで、健康的な生活習慣を楽しみながら継続することが全社的に浸透してきていました。そんな中、コロナ禍による外出自粛が始まり、リモートワークが増える中、健康面で最も危惧されたのは、1日の歩数が激減したことです。さらに、オフィスでの体組成計測の機会がなくなることで、自身のからだや健康に意識を向ける機会がなくなってしまうことでした。そのため、出社時と同じ習慣を自宅でも継続できるように、タニタ体操のオンライン化や、全社員への通信機能を持つ体組成計の貸与を進めました。結果、8割くらいの社員は、新たな生活様式でも朝のタニタ体操と体組成の計測習慣を定着させることができています」

健康無関心層アプローチ

 タニタでは、健康計測機器を通じた健康習慣づくりのサポートを軸に、健康に関心のない生活者へのマーケティングアプローチを磨いてきている。たとえば、人気アニメとのコラボレーションした体組成計や歩数計の販売、タニタ食堂の展開や監修する食品など、消費者が自分の趣味や生活必需品などをきっかけに、健康に興味を持ってもらうことで、顧客接点を持てる施策を数多く打ち出してきている。SNSを活用したマーケティングで繋がりを維持し、同社公式ツイッターには30万人以上のフォロワーがいる。
 そうして培ってきた多様なタッチポイントを起点に、今回スタートしたインスタグラムでの「タニタ体操」のライブ配信や、ユーチューブの「タニタ体操動画」の継続利用に繋げて、新しい健康習慣づくりを広くサポートしていこうという計画だ。「タニタ体操」そのものにも、健康習慣を継続するためのノウハウが蓄積されている。タニタでは、本社と工場で毎朝ラジオ体操を行っているが、「タニタ体操」は特にデスクワークの肩こりや腰痛などの不定愁訴の解消を目的に内容を刷新してきた。肩甲骨周りの6つの動きを深い呼吸を繰り返しながら行うことで、美しい姿勢で歩ける背中の筋肉の使い方ができるようになるという。女性がスカートのままでもしやすい動きを選ぶなど、オフィスワーカーが毎日続けやすい配慮が盛り込まれている。
 インスタでのライブレッスンでは、このタニタ体操にプラスして、「今日の1(ワン)トレ」として、日替わりで筋トレを1日1種目ずつ紹介している。全体で5分強にまとめるため、動作のコツをわかりやすく伝えることに主眼を置いている。筋トレとしては回数が少ないものの、タニタ体操と併せて実施してもらうことで、1日1回でも自分のからだの細部に意識を向け、気づきを得られることが健康への第一歩になると考え、運動のきっかけと習慣化を重視した内容にしている。
 社員向けにはグーグルミートを利用し、オンラインでお互い顔を見ながら進行。社外のリモートワーカー向けには、インスタライブでインストラクターのみが画面に登場し、チャット機能やツイッターでコミュニケーションしている。オンラインレッスンへの継続参加を促す施策として、両レッスンを担当するNSCA認定パーソナルトレーナーの戸澤恵里さんは、こう話す。「オンラインでは、特にライブ感が得られるコミュニケーションを重視しています。参加者一人ひとりにお声がけしたり、チャットやツイッターでの質問や要望にはできるだけタイムリーに応えるようにしています。特にインスタでの「タニタ体操」では、これまであまり健康習慣がなく、リモートワークによる運動不足をきっかけに参加しようと思った方にも楽しんでいただけるよう、それぞれの動きについて分かりやすく伝えるだけでなく、どこをどのように意識するかや、そのトレーニングがなぜいいのかも、丁寧に説明するように心がけています。また、体組成計測も同様ですが、点でなく、線で見ていくことを勧めています。はかった数値も体操も1回でなく、継続することでからだの変化をより感じていただけます。体操1回での運動効果よりも、1日のリズムをつくったり自分の身体に意識を向けたりする機会としての5分間の体操の価値を伝えるようにしています」
 タニタでは8月末までに、一般リモートワーカーを対象にした無料配信を続ける。これによりノウハウを蓄積することで、新たなサービス展開を検討していくとしている。

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