掲載日:2021年06月24日  更新:2021年10月07日

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NEXT AWARD トレーナー・インストラクター オブ・ザ・イヤー2013

フィットネス・トレーニング指導者の活動範囲を広げ、広く業界と社会に貢献する活動を称えるネクストアワード『トレーナー・インストラクター・オブ・ザ・イヤー』
2013の受賞者が決定!フィットネス・トレーニング分野で高い価値を生み出している各受賞者の活動内容を紹介する。

治療から体力づくりまで、一貫してサポートできる環境づくり

渡部さんはこれまでフィットネスインストラクター、スポーツトレーナーを経て、治療家として活動してきた。その時々のクライアントのニーズに合わせて、知識や経験を積み重ねるうちに感じたことが、「治療から体力づくりにいたるまでを一貫して管理できる環境づくりの必要性」である。そして、それができるのは、トレーナーだと確信している。ジュニア世代に見られるスポーツ障害も、中高年層に多く見られる関節疾患も、運動機能向上に関する正しい情報のもとに治療からリハビリ、機能向上を行うことが最も効果的であり、トレーナーはその核になれる役割を担える。こうした環境ができること、つまりトレーナーが活躍できる環境づくりをすることで、多くの方をハッピーにできることになる。「それを実現するには、自分がまずトレーナーとして影響力のあるスピーカーになること」と渡部さんは強い使命感を持ち活動を続ける。

「今や世の中には情報が溢れているものの、特に地元秋田では、メディアで話題になる情報に振り回されやすいと感じます。だから、正しい情報を多くの方々に届ける近道は、自分が影響力のある存在になること。より多くの生活者の方々に耳を傾けて貰えるように努力しながら、トレーナーができることを形にしていって、社会におけるトレーナーの必要性を地道に伝えていきたいと思います」

不名誉な記録をいくつも持つ秋田を、トレーナーの力でよりよい場所に。渡部さんは、数十年単位の長期的ビジョンに向かって歩みを進めている。

渡部真吉さん Shinkichi Watanabe
高校時代までプロ野球選手を夢見て練習に励むがスポーツ障害に悩まされる。卒業後、仙台にある専門学校に進み、その後フィットネスインストラクター、スポーツ施設指導員を経て、柔道整復師の資格をとり、地元秋田に戻って整骨院をオープン。ここを拠点に、広く地元のトレーニング指導、健康指導にもあたっている。柔道整復師、健康運動指導士、NSCA-CPT。

受賞理由
フィットネスクラブの軒数も少なく、フィットネスやトレーニングの情報が届きづらい環境の中、地元に広く最新で本質的なトレーニングの情報や、トレーニング環境を創る活動を力強く進めていることが高く評価された。国家資格である柔道整復師、自治体の活動に参画しやすい健康運動指導士、トレーニング指導者としての民間資格であるNSCA-CPTを持ち、戦略的にトレーナーとしての発言力や影響力を高めて実績に繋げている。

MUST ITEM!
温泉大国秋田の特権。トレーニング後のリカバリーには必須で、2日間も入らないと気持ち悪くなるほどの温泉好き。

写真
①ミス・ユニバース・ジャパン秋田代表のボディメイクを担当。活動の幅を広げる契機となった

②2007年田沢湖スキー場で開催された秋田国体冬季大会で、アシスタントトレーナーとしてアスリートをサポート

渡辺さんのこれまでの仕事人生グラフ

インストラクター部門 最優秀賞 石塚直樹さん(39歳)


専門学校卒業後フリーインストラクターとして活動後、会社を法人化させて5年。会社名にもある「HEARTBEATING(心躍る)」場を次々に創ってきた石塚直樹さん。それぞれの活動が、多くのインストラクターとお客様を惹きつけている。2013年、そのうちの一つ『高円寺阿波おどり大会』では、インストラクターとお客様の混合チームで、最高の賞となる都知事賞(グランプリ)を獲得。多くの人にフィットネスの魅力を伝え、参加を促した。

携わる人の心が躍る場を創る

「これをすると喜ぶだろうな、こんなことしたら楽しいだろうな」

石塚直樹さんはいつもそう考えている。それを、「お客さま」「インストラクター仲間」「自分」という3つの軸で考え、その3者がそれぞれに「心躍る」場を想像しては創り出してきた。

フリーインストラクター時代は、フィットネスクラブが仕事のフィールドだったが、会社を法人化させてからは、クラブの外に仕事のフィールドを広げた。「心躍る」場に一般生活者を惹きつけることで、フィットネスに興味を持ち、一人でも多くの人に参加して貰いたいと考えたからだ。そうすることでインストラクターの活躍の場も広がり、この仕事を長く続けることができる。それぞれの活動が5年目を迎え、そうした場が拡大するだけでなく、活動同士の相乗効果も生まれてきている。その経緯を石塚さんはこう話す。

「2009年に会社を立ち上げるときに、協力してくれるインストラクター一人ひとりに会って、何をしたいか話をしました。この5年間でやりたいことは一つ以外すべて形にできました。残りの一つは、『I1(アイワン)グランプリ』というインストラクターのコンテスト。その取り掛かりとして『VS STAGE』を立ち上げましたが、発想したものの形にできていないのは、それくらいでしょうか」

こう話すとおり、石塚さんは発想したら、すぐに行動して形にする。形ができると、それをインストラクターの仲間と共有することで、その活動を発展させる。そうして「心躍る」お客さま、インストラクターが増えることで、自身の心も躍らせてきた。

2013年は創業当時から育ててきている主に5つの活動が、それぞれ拡大。社会的にも注目される活動に繋がり始めている。

2月に開催した『VS STAGE』は、インストラクターをつのグループに分け、それぞれ5人のインストラクターがレッスンをして、参加するお客さまに勝敗を評価して貰うというもの。ダンスコンテストなどでお客さまが評価される内容のイベントが多い中、逆にお客さまにインストラクターを評価して貰う機会を創ろうと2012年に立ち上げたイベントである。2013年は、インターナショナルプレゼンターの一人、モルガンさんを招いて開催した。

4月と10月に開催した『バーオソルインストラクター養成コース』と『バーオソルワークショップ』は、「インストラクターの次元を超えよう」とのコンセプトで2012年から始めているもの。年2回のペースで開催しているが、”本物”を確実に伝えるべく、毎回講師も通訳もフランスから招いている。認定者を2,000名に増やすことを目標に活動しており、現状では40名と今後ペースアップが必要だが、インストラクターのネットワークが広がってきたことで、ワークショップも拡充してきた。レッスンの指導力だけでなく、解剖学、コミュニケーション力や、セルフブランディングなど、多角的に自身の能力を次の次元に高められる場を提供している。

6月に開催した『HEART BEATING FESTIVAL』は、毎年6月に開催している海外イベントで、2013年4回目を迎えた。常夏グアムのホテルを借り、開放感に満ちた青空のもとでエアロビクスを楽しんだり、夜はプールサイドのディナーパーティで過ごすなど、インストラクターもお客さまも日常から離れて楽しめるイベントとなっている。多い時は名もの80人が参加する。

8月に参加した『三鷹阿波おどり大会』『高円寺阿波おどり大会』には、インストラクターとお客さまの混合チームで出場。5年前に結成した「心舞連」は、とにかく楽しむことを優先して活動してきた。大会まで練習会を10回設定しているものの、参加は自由。中には、大会当日のみ参加の人もいる。それでも石塚さんは「みんなが楽しいと思うこと、大会に参加して心躍る体験ができることが最優先」と、とにかく歓迎。もちろん一生懸命練習して達成感を楽しみたい人にも、その体験ができるように環境を整えている。

2013年は、その踊るみんなの「楽しい」気持ちが見ている人の心も躍らせた。高円寺阿波おどり大会で、参加連数157連の中から、見事グランプリとなる都知事賞に輝いた。大会本部からの授賞理由のフィードバックによると、主に2つのことに秀でていたという。一つは、表現力。審査は様々な視点から行われるが、特に評価が高かったのが、一般の見学者による審査。石塚さんの分析では「もともとインストラクターはレッスンでお客様を惹きつける動作スキルを持っていますし、今回参加したお客さまの中には、ダンススピリットバトルでダンスの表現力を磨いてきている方も多かったので、その表現力が発揮されて見学する方々の印象に強く残ったのだと思います」。さらに石塚さんが長く競技エアロの分野などで様々な作品を創ってきたことも、踊る参加者の表現力を惹き出した。見ている人をハッとさせるようなエアロビクスの動きを阿波踊りの動きに織り交ぜ、フィットネスの楽しさを伝えたいという気持ちが活かされた。もう一つの受賞理由は、マナーの良さ。踊り以外の場所にも覆面審査員がおり、踊っていない時のマナーも審査対象になっている。タバコを吸わない、明るく挨拶するといった、フィットネスピープルならではの爽やかさで、ダントツの高い評価を得たという。ただ、石塚さんはグランプリの大きなトロフィーにはそれほど関心がない。「賞を貰うことよりも、参加するみんなの心が躍ることや、見ている人の心が躍ることが最優先。来年以降も、ここにこだわりたいと思います」と余念がない。

そして、10月に開催したのが第5回目となる『DANCE SPIRIT BATTLE関東大会』だ。同イベントは観覧者も審査員として参加できる仕組みで、今回は37チームがエントリー、総勢500名が集結する熱気あふれるイベントとなった。このイベントの運営フォーマットは、全国のインストラクターと共有できるようにマニュアル化されており、これまでに北陸では島田厚さん、北海道では樋口敬勇さん、東海地区では藤原一也さん、そして、2014年6月に新たに関西で三木侑平さんによる開催が決まっており、それぞれが中心となり、大会が開催されている。参加チームはインストラクターからお客さままで様々だが、ここでも審査基準は「上手い下手ではなく、どれだけ観覧者の心を躍らせたか」。あえて部門分けせず、審査委員にも毎回様々な分野の人を招いている。全国大会の開催も近い。

ひらめきを形に

2014年5月には、新イベント「THE SHOW」をスタートする。インストラクターによる歌あり、踊りありの観覧型のイベントだ。まだフィットネスに参加していない人にも気楽に参加して楽しんで貰おうというもの。ダンスは本格的なステージダンスを志向することで、振付や演出などをインストラクターの将来の仕事として位置付けられることも企図している。

取材の最後に人生グラフを書いて貰おうとお願いすると、「ずっと最高地点なので直線グラフになりますけどいいですか」と石塚さん。これからも石塚さんの心の動きとそこから生み出される活動が、多くの人々の心を躍らせていくに違いない。

石塚直樹さん Naoki Ishizuka
株式会社HEART BEATING代表取締役。心舞連連長。東京健康専門学校卒業後、フリーインストラクターとして16年活動。2009年に法人化。現在は4社のスタジオプロデュースを務め、プログラム作成、インストラクター管理育成、イベント企画など、独自の発想でフィットネス業界の垣根を越えた活動に繋げている。現在も週1本の中上級エアロビクスをレギュラーで担当。

受賞理由
独自の発想で創り上げてきた数々の活動が実を結び、フィットネスへの啓発や一般生活者の参加に繋げていることが高く評価された。自身と、インストラクター、お客さまの3つの軸で、それぞれが楽しめる場を創り、その場づくりをインストラクターとも共有することで活動を拡大させ、業界の発展にも寄与している。

MUST ITEM!
手帳、スマートフォン(充電器)、iPod、surface、名刺

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