掲載日:2021年08月09日  更新:2021年10月07日

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NEXT AWARD トレーナー・インストラクター オブ・ザ・イヤー2017

フィットネス・トレーニング指導者の活動範囲を広げ、広く業界と社会に貢献する活動を称えるネクストアワード『トレーナー・インストラクター・オブ・ザ・イヤー』2017の受賞者が決定!
フィットネス・トレーニング分野で高い価値を生み出している各受賞者の活動内容を紹介する。

辻茜さん Akane Tsuji
Body Making Studio Aulii代表
一般社団法人ウィメンズヘルス協会 代表理事
幼少よりクラシックバレエを始め、松山バレエ学校、同バレエ団を経て、パリに留学。その後渡英。ソリストとして活躍中に怪我を機にピラティスに出会う。2006年、ネバダ州立大学公認DK Body Balancing Pilates取得。同年に帰国し、専門スタジオ等で指導。2014年ミスユニバースビューティーキャンプの講師のほか、雑誌、メディアの掲載も多数。2012年自身の妊娠を機にBody Making Studio Auliiを、2016年乳癌学術学会を機に、一般社団法人ウイメンズヘルス協会を立ち上げ、乳癌術後ケアピラティスプログラムをはじめ、女性の為のヘルスケアプログラムなどを開発。

MUST ITEM!
PC、スマホ、ノート日頃気になったことはノートやPC、スマホにメモをしたりコンタクトを取るようにしています
娘はいつも未来について考えさせてくれる大切な存在

写真
①乳癌学術学会での発表の様子

②乳癌術後ケアピラティス講師養成講座の様子

③スタジオでのセッションの様子

④Auliiのスタッフ、お客様はいつも大切な現場の意見と気づきをさせてくれる

⑤ハワイ、マカハピラティスリトリートにて食事やメンタル面も含め、皆様と時間を共有しながら健康に

辻さんのこれまでの仕事人生グラフ

>プログラムディレクター部門 最優秀賞 上田浩之さん 一般社団法人 日本健康体操普及連盟 代表理事

80年代の日本のエアロビクスブーム立役者の一人、上田浩之さん。25年間エアロビック競技選手としても活躍し続け、自身の身体機能を高める中で、ヨガやフープエクササイズを深耕し、オリジナルプログラムを開発してきた。2015年にリリースしたKAZEは、パーソナルトレーニングで注目される最新メソッドやコンセプトをグループプログラムとして構成したもの。パーソナルトレーナー、グループエクササイズインストラクター、地域の体操指導者から厚い支持を受けている。上田浩之さんが、2017年プログラムディレクター部門最優秀賞に輝いた。

KAZEを生んだ発想

上田浩之さんは、1980年代のエアロビクスブームの頂点にいたインストラクターの一人。スタジオNAFA8期生として個性的なレッスンで人気を集める一方で、1988年ジャパンナショナルエアロビックチャンピオンシップペア部門での優勝を皮切りに、競技エアロビックでも全日本優勝13回、世界大会2回準優勝と連覇を続けた。まさにエアロビクスの寵児といえる存在だ。

その上田さんが開発したプログラムKAZEには、長年エアロビクスと向き合ってきた上田さんならではの新しい発想が活かされている。その開発経緯についてこう話す。

「フーププログラムの開発を10年ほど続けてきていますが、2年前にある事をきっかけにまったく新しいことを始めたくなりました。そこで、フープエクササイズプログラムの真逆のアプローチをとってみようと考えました。開発にあたって決めたルールは3つ。①道具がいらないこと、②シューズがいらないこと、③場所をとらないこと。そして、当時パーソナルトレーニングの世界で注目されていた3つのエクササイズコンセプト、①筋膜リリース、②ドローイン、③ファンクショナルトレーニングを軸にプログラムを考えることにしました」

この3つのルール×3つのエクササイズコンセプトから生み出されたKAZEは、K(筋膜体操)、A(赤ちゃんの呼吸法)、Z(自重負荷ファンクショナル)で身体の機能が高められるE(エクササイズ)として構成されている。

K(筋膜体操)は、筋膜リリースを目的とするケアの多くが、ローラーなどの道具を使ったマッサージが一般的であるのに対して、KAZEでは筋膜のラインに沿ったムーブメントでアプローチしていく。筋膜の萎縮や癒着を予防するコンディショニングに焦点を当てている。KAZEの開発段階で体験会を開いたときに、その構成を絶賛してくれた理学療法士の荻島悠平さんが、その後開発プロジェクトに参加。理学療法士からの視点を加えながら進化させてきている。

A(赤ちゃんの呼吸法)についても、荻島さんの臨床での経験が活かされている。ドローインは動作中に体幹部を安定させる事を目的に注目されたが、現在ではベビーブレスと呼ばれる赤ちゃんの頃の自然で効率的な呼吸に導くほうが腹圧を高め、体幹部を安定させ、インナーユニットへのアプローチが効果的に行えると注目されている。また、ベビーブレスでは体幹を前後左右に大きく膨らませるように深い呼吸を行うことで、腰痛や肩こりに関与することが多い多裂筋や肩甲骨周りの筋肉のもほぐれ、各関節が適切なポジションに戻りやすくなる。また、横隔膜が働くことで、骨盤底筋群も連動して収縮が促され、インナーユニット全体の機能を高めることができる。

Z(自重負荷ファンクショナル)は、ファンクショナルトレーニングに詳しいSAWAKIGYM代表の澤木一貴さんに協力してもらいながら、ギアを使わないで行える方法を考案していった。日常動作の改善に焦点を当て、歩行動作のベースとなる足を前に踏み出す動作から入り、矢状面、前額面、水平面の動きを組み合わせていく。上田さん自身も指導経験のあるヨガの動きも採り入れ、体幹部を安定させながら複合的にダイナミックに動くことで、胸椎の回旋可動域の維持や改善、筋力と筋持久力が高められる内容となっている。

京都のトレーニング仲間との思い出と想い

上田さんがKAZEの開発と展開に打ち込む原動力の一つに、上田さんが生まれ育った京都での思い出と、そこで出会った仲間への想いがあるという。

上田さんは、プロレスファンの父と、ブルースリーファンの兄のもとで育ち、小学生のときから筋肉に興味を持ち、学校でも力こぶの大きさを競い合っていたという。高校時代に友人に誘われて行ったトレーニングジムで筋トレにはまり、毎日通っているうちに、トレーニング仲間が増えていった。ある日、そのジムの「婦人体操教室」でエアロビクスが導入されることになり、顔見知りのご婦人チームに誘われたのがエアロビクスとの出会いとなった。新しいトレーニングに興味深々で、参加しようと初日にジムに行ってみると「あんたが一番若いんやから、あんたが先生やで!」と、やったことがないのにインストラクターデビューを果たすことになる。当時出版されていたエアロビクスの書籍2冊を購入。見よう見まねでエクササイズを構成し、知り合いのユーロビート好きなお姉さんからレコードを借りて曲を編集して、レギュラーレッスンがスタートした。

すると、回を重ねるごとに人が集まり、毎回50~60人が集まる人気クラスになる。そのうち人500円ずつレッスンフィーも出してくれるようになり、高校生にしてエアロビクスレッスンで月20万円もの稼ぎを得ていたという。エアロビクスブームの到来とともに、上田さんも活躍の場を広げ、京都のダンススタジオやエアロビクス専門スタジオを経て、当時エアロビクスの殿堂とされた原宿のスタジオNAFAへ。養成コースで実力もつけ、人気インストラクターに上り詰めていく。さらに競技エアロビックで優勝したことで全国ツアーを重ねるようになり、その名は全国へと広がっていった。

それから約30年が経た2015年、KAZEの開発を始めたときに頭に浮かんだのが、京都時代のクラス参加者達のことだったという。振り返ると、何か大切なものを置いてきてしまったという思いがよぎる。自分の原点をつくってくれたサークルの仲間やクラスに参加してくれていた人たちに、これまで自分が学んできた最適なトレーニングプログラムを届けることで恩返ししたい。その想いがKAZEのコンセプトの根底にある。KAZEが目指すのは「おばあちゃんがバスタオル1枚だけ肩にかけて身軽・気軽に運動に行ける」こと。地方のサークルでも採り入れやすいようにと、高齢者対象の体操サークルでテストクラスを重ねながらプログラムを開発していった。

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