フィットネス業界とは、主にフィットネスクラブを経営・運営する企業を指しますが、もう少し幅広く健康ビジネス業界と括れば、フィットネスのみならず、医療、ヘルスケア、介護予防、スポーツ、ビューティー、リラクゼーション、栄養といった分野の産業なども含まれます。AI、ロボティクスなどデジタルテクノロジーの進展や生活者のライフスタイルの変化などから、フィットネス業界と、こうした周辺の業界とのボーダーが限りなく薄れ、これまでになかった新しく魅力的な業態や商品・サービスが誕生してきました。一例を示すと、健康関連のメーカー・サプライヤーが運動関連のソフトを開発し、どこにいても自由気ままにエクササイズできるようになったことが挙げられます。業界の枠を超え、各所でイノベーションが起こりつつあるのです。そこにコロナ禍が襲いました。多くのフィットネスクラブ企業がダメージを受けましたが、コロナは「本質」を浮き彫りにしました。フィットネスサービスはコロナ下だからこそ不可欠なものであるということが明らかになりました。習慣的に運動に取り組む人は感染リスクが31%減り、感染による死亡リスクも37%減るというエビデンスがあります。この他、認知症やフレイル、メンタルヘルスなどに効果があることがわかっています。
ですが、それをきちんと一人ひとりのお客さまに提供できるる企業もあれば、できない企業もあります。残酷ですが、コロナはそうした企業を選別します。
本誌では主にフィットネスクラブを経営・運営する企業のことを中心に、皆さんが就職を検討するフィットネス業界や、そこで働くことの魅力、どうすれば就職できるのか、仕事の内容、将来のキャリア形成などについて、できる限りわかりやすくありのままを紹介していきます。フィットネス市場は、世界でも、日本でも成長余力の大きい分野です。国の成長戦略の1つである「健康寿命の延伸」への取り組み、健康経営の推進など数々の機会もあります。そこでのビジネスは社会に大きく貢献するものです。何より、フィットネスをすることは気持ちが良いですし、健康な心と身体が得られます。前述したようにコロナにも感染しにくくなります。「健康は失ったときに、その大切さがわかる」とよくいわれますが、病気にならずに元気でいることは人生そのものを豊かなものにしてくれます。欧米でも「ExerciseisMedicine」とよくいわれています。運動は身体にとって最良の薬なのです。このことは何度も言いますが多くのエビデンスが示しています。ニューノーマル(新常態)へと向かう時代、フィットネスは、日本人にとってますます必須のものとなることでしょう。
私たちフィットネス業界の関係者は、フィットネスビジネスに取り組もうと思う若者たちを大歓迎します。
ようこそ、フィットネス業界へ。ぜひフィットネスクラブ経営企業の門をたたいてみてください。門の先には大きな可能性が開けています。
株式会社クラブビジネスジャパン
代表取締役社長
『フィットネスビジネス』編集長
Takenori Furuya古屋武範
1985年早稲田大学卒業後、セノー株式会社入社。企画・広報・国際関連業務を担当。2002年、株式会社クラブビジネスジャパンを設立。同社が発行する『フィットネスビジネス』(IHRSA刊『クラブビジネスインターナショナル』提携)編集長としてテレビ・ラジオへの出演、新聞・雑誌への記事掲載、司会・講演・寄稿・執筆等多数。