掲載日:2021年08月10日  更新:2021年10月07日

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NEXT AWARD トレーナー・インストラクター オブ・ザ・イヤー 2018

フィットネス・トレーニング指導者の活動範囲を広げ、広く業界と社会に貢献する活動を称えるネクストアワード『トレーナー・インストラクター・オブ・ザ・イヤー』2018の受賞者が決定!
フィットネス・トレーニング分野で高い価値を生み出している各受賞者の活動内容を紹介する。


トレーナー部門
最優秀賞
小林俊夫さん
imok 株式会社 代表取締役

インストラクター部門
最優秀賞
奈蔵和香さん
株式会社Vivicious Works Japan取締役

プログラムディレクター部門
最優秀賞
角谷リョウさん
株式会社 Lifreeファウンダー

トレーナ部門 最優秀賞 小林俊夫さん imok 株式会社 代表取締役

都内を中心にパーソナルトレーニングスタジオと猫背改善専門スタジオを4店舗経営。2018年には、国産リフォーマーとオリジナルメソッドを開発。日本のトレーナーがリフォーマーを定番トレーニングの一つとして利用できる環境を整えた。2009年にトレーナー部門優秀賞に選ばれた小林俊夫さんが、10年の進化を経てトレーナー部門最優秀賞に輝いた。

メイドインジャパンのリフォーマーで課題解決へ

医療系国家資格を有し、姿勢・機能改善、パフォーマンスアップ専門トレーナーとして活躍している小林俊夫さん。スタジオ経営、メディアの監修及び出演、全国各地での研修、講演、トレーナー育成など意欲的に活動している。

そんな小林さんが2018年注力したのが、国産リフォーマー「Reformer for Motor Learning」とその養成プログラムの開発と普及である。「運動学習の為のリフォーマー」として、ピラティスメソッドの良い部分は残しつつ、神経系へのアプローチなど最新のコンディショニング理論を加えたリフォーマーの活用法を提案する。国産リフォーマーの開発により、日本でのコンディショニング市場を広げ、トレーナーが新たなビジネスモデルの確立に挑戦しやすくなることも視野に入れている。開発経緯について、小林さんはこう話す。

「近年、トップトレーナーほど機能解剖学や運動生理学はもちろん、ヒトの運動や姿勢制御のベースとなる『脳』をはじめとする『神経系』について深く学ばれています。でも、専門的な知識をインプットしても、アウトプットがお客様に分りにくい内容になってしまっては意味がありません。いかにお客様に『やりたい!』と感じていただけるかが重要です。リフォーマーは、脳や神経の活性化に優れており、なおかつ、お客様が興味をもって取り組めるパイプ役としても最適だと感じていました。ただ、『リフォーマー=ピラティスだけのもの』と捉えているトレーナーも多く、その概念を払拭するためにも、リフォーマーというハードと、プログラムというソフト両方での提供が必要だと思いました」

ピラティスイクイップメントの中でも、最も代表的なリフォーマーは、現状では欧米から購入するのが主流で、導入に不自由さを感じている人も多い。小林さんもその一人だった。英語表記による心理的ハードルや納期の不確定さ、税関手続きの手間、修理の困難さなど、相当な覚悟がないと導入に踏み切れない。また小林さんは、日本で今後事業展開を目指すうえでは、財政赤字や地方過疎化、地域産業の衰退など日本の抱えている問題を鑑みても、海外に出資するより、国内で製造・販売、修理やアフターフォローまで行い、日本経済を活性化させる方が大切だと感じ、開発に踏み切ったと話す。

だが、開発の道のりは簡単なものではなかった。金物と木工を同時に請け負う製作業者がなかなか見つからず、最終的に行き着いた先は、モノづくりの町として有名な新潟県燕三条。地域の町工場が連携して取り組むことになったものの、試作品を作る以前に、職人さん達に「リフォーマー」の説明をする必要があった。

「仕組みや構造を理解してもらうために、動画を視てもらったり、スタッフと共に片道4〜5時間かけて実物を現地までトラックで運んだり。機能面はもちろんですが、何より安全性を重視していたので、どこに強度を持たせるべきかを作り手にしっかり理解してもらいたかったんです」

2018年4月から試作品作りがスタートし、7月に1号機が完成。新潟技術研究所にて耐荷重試験を実施。テストマーケティングとして「SPORTEC2018」に出展した。

そこで、ピラティス指導者やトレーナー、医療従事者100名以上の意見を受けてブラッシュアップし、改良版の2号機が完成。2018年11月の販売開始から1カ月半で8台を販売。2019年に入ってからも継続的に注文が入ってきている。東京・関西で「Reformer for Motor Learning養成プログラム」もスタートし、早くも15名の認定者を輩出。確かな一歩を踏み出した。

トレーナー業の中で得た経営者、開発者としての力

柔軟な発想と多角的な視点、論理的思考能力を活かし、経営者、開発者としてビジネス展開している小林さん。その力は学生時代から着実に培われてきた。

フィットネスとの出会いは高校生の頃。当時打ち込んでいた野球で活躍したいと、センスの無さを補うために、トレーニング理論や栄養学の本を読み漁る。地元のフィットネスクラブでトレーナーに教えてもらい始めると、みるみる体が変化していく。その体験をするうちに、「自分のように、スポーツを頑張りたいけど、何かしらの悩みを抱えている人を、科学的にサポートできるプロになりたい」とトレーナーへの道を志すことになる。

ピラティスとの出会いは、専門学校時代にNEXTを通じて代表の桑原匠司さんの存在を知り、学び始めたPHIピラティス。アメリカ本部での研修にも参加し、日本人マスタートレーナー第期生として資格を取得。養成セミナーなどを開催し、卒業後はPHI Pilates Japanの事務局なども務める。その後、2012年にマイクロジムをオープンするに至る。

そして柔軟な発想と行動力は、18歳のころに、友人からオグ・マンディーノの著書『12番目の天使』を勧められたことがきっかけだという。自己啓発やビジネスにも興味を惹かれ、以来、年間150〜160冊以上の書籍を読み込んでいるという。

ビジネスパーソンとしての土台を拡げ、新たなビジネスモデルを創造

「トレーナー業界が次のステージに進むためには、これまでのパーソナルトレーニングやマイクロジム経営以外の新しいビジネスモデルを創りだす必要があります。そのためには、トレーナー自身が専門的なスキルや指導力だけでなく、土台となる人間力や思考力、ビジネススキルや情報リテラシーなど、自身の能力を大きくしていくことが重要だと思います。アスリートを指導する際に『パフォーマンスピラミッド』を用いて、スキルやパフォーマンスを高めるためには、土台を大きくしていきましょうと選手に説明すると思いますが、このピラミッドの考えは、僕らトレーナー自身にも当てはまるのです」

このパフォーマンスピラミッドの考え方は、今回開発したリフォーマーを通じて、小林さんが広く啓発したいことにも通じている。

「リフォーマーも、パフォーマンスピラミッドの最下層部分のファンクショナルムーブメントをつくるアプローチとして有効ですが、ピラティスメソッドが生まれたのはかれこれ100年ほど前で、現代の人々は近代的な生活の中で、緊張モードが続いていたり、感覚刺激が当時より少ないことで、脳が不活性な状態になっていると言えます。そのため、100年前とは異なり、さらに土台の部分にアプローチする必要があると考えています」

これまで多くの方から学び、トレーナー経験を通じて実践してきた、現代人の脳をはじめとした神経系の機能を取り戻すアプローチを、より多くの人に届けることで、ジョセフ・ピラティス氏や先人のトレーナーの方々に恩返しをしたい。

仲間と運動指導者への貢献

2013年に猫背改善専門スタジオ「きゃっとばっく」を開業し、2014年にimok株式会社を起業。ミッションに賛同する仲間がいてくれることで、1人では出来なかったことが、出来る様になってきている。今回の「Reformer for Motor Learning」の開発も、チームメンバーがいなければ成し遂げることは出来なかった。そうした、共に働いている仲間の成長に貢献し、先ずはチームメンバー1人1人を勝たせたい。そして、その仲間と共に、本気でお客様や選手、患者さんの為を想って学び続け、活動をしている運動指導者や医療従事者を勝たせたい。その思いとともに、今後は、オンライン&オフラインにおける、リフォーマーとボディワークの学び舎である「imok Academy」。リフォーマーレンタル事業、「Chair for Motor Learning」の製作と養成プログラムの開発、「専門性×ピラティスイクイップメント」による新業態スタジオの開発にも挑んでいく。

小林俊夫さん Toshio Kobayashi
imok 株式会社代表取締役、猫背改善専門スタジオ「きゃっとばっく」代表
トレーナー歴15年。BodyworkforMovementDevelopmentを開発。2010年、鍼灸あん摩マッサージ指圧師資格取得。12年にマイクロジムをオープン、独自メソッドに基づいたコンディショニングを提供。店舗展開とともに、機能改善、パフォーマンスアップの専門家として、TV・雑誌などメディア監修や出演、企業講演や指導者育成も多数。

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チームスタッフ
毎週月曜日は、全スタッフが集合してのミーティング及び研修。各店舗の売り上げ確認やお客様の情報シェアに始まり、ビジネス力向上研修やテクニカル研修を実施。店舗数が少しずつ増加をすることで、毎日全員と顔を合わせる機会は減ってしまうが、月曜日に全員で集まることにより、方向性の確認や各自とチームのベクトルを揃えることが出来るだけでなく、シンプルにチームスタッフからエネルギーを貰っています。

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