掲載日:2021年08月10日  更新:2021年10月07日

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NEXT AWARD トレーナー・インストラクター オブ・ザ・イヤー 2018

フィットネス・トレーニング指導者の活動範囲を広げ、広く業界と社会に貢献する活動を称えるネクストアワード『トレーナー・インストラクター・オブ・ザ・イヤー』2018の受賞者が決定!
フィットネス・トレーニング分野で高い価値を生み出している各受賞者の活動内容を紹介する。


インストラクターとしてのMUSTITEM
音楽の聴き込みや練習に欠かせないヘッドホンと、体調管理のための強い味方「ボディメンテ」。

写真
①3ヶ月に一度のヴィヴィシャス登録インストラクターミーティング。現在登録インストラクターは20名。

②2年目の「Amazing!!!X’mas Night」では、お客様・インストラクター・スタッフ全員が融合し大成功!最前列左から小栁るみ・金子珠枝・富田美香子・米城梨沙・YUKIKOの5名のCASTの活躍が光りました。

③ヴィヴィシャス登山部・初めての北アルプス「燕岳」登頂!絶景に心から感動しました!!

④ランニング部の「フォトランラリー」はお陰様で人気イベントに。仲間と走る楽しさを分かち合いました!!

奈蔵さんのこれまでの仕事人生グラフ

プログラムディレクター部門 最優秀賞 角谷リョウさん 株式会社 Lifreeファウンダー

一般企業で健康経営への取り組みが本格化した2018年。この分野での確かな効果が支持され、中小企業から大手企業まで顧客層を広げる「ボディイノベーションプログラム」。脳科学や行動心理学、モチベーション理論、習慣化メソッドを徹底的に研究して開発し、指導にも携わる角谷リョウさんが、2018年プログラムディレクター・オブ・ザ・イヤーを受賞した。

意思が弱い人も行動変容できるアプローチ

「ボディイノベーションプログラム」は、運動習慣がない、運動に興味がない人でも、健康的な行動習慣が続けられるようになるプログラム。企業ウェルネスプログラムとして、これまでに60社、3,000人あまりのビジネスパーソンをサポート。これまで脱落者はわずか1人と、100%に限りなく近い確率で、行動変容を実現させてきている。

このプログラムが生まれた背景には、開発者で指導者の角谷リョウさん自身が、パーソナルトレーナーとして活動していたときに抱いていた課題感があったと話す。

「私自身社会人になってからトレーニングで身体が変わる楽しさに目覚めて、2005年にパーソナルトレーナーとして独立しました。当初は『短期間ダイエット』を売りにして、マイクロジムを4店舗まで展開しましたが、プログラムを終えるとリバウンドしてしまったり、トレーニングが続けられない人も多いことに気づきました。そこで、短期的な効果よりも、続けられる効果を重視した『習慣化ダイエット』に切り替えることにしました」

このアプローチが、企業ウェルネスプログラムとして展開されるに至ったのは、2012年頃、トレーニングをサポートしていた経営者のクライアントから、「うちの会社でもやってほしい」と依頼されたことがきっかけとなった。当初は角谷さん自身も「パーソナルトレーニングを頼むくらい意識の高い人向けに、パーソナルにサポートしたからこその成果」とも感じていたが、パーソナル指導だけでは社会的な影響力としても限定的と感じていたことも現実としてあった。そこで、グループで行うことの利点を活かしつつ、運動に興味がない人でも健康的な習慣づくりに興味を持ってもらえるようにプログラムを再編成。「人生や仕事を“ごきげん”な状態で臨めるにようにするための取り組み」をコンセプトとした、2ヶ月間の「カラダカエルプログラム」をスタートした。

この取り組みに手ごたえを得た角谷さんは、その後、プログラム提供を法人市場に特化して、実施と改良を重ねていった。すると、グループで行うことで、むしろパーソナルより行動変容がしやすいこともわかってきた。身近な仲間が変わっていく姿につられて行動変容が促されたり、「みんなが見てる」「応援してくれる」ことで、自分の意思が弱くても、新しい行動習慣が続けられる。さらに「健康」や「運動」を目的とせず、「エネルギーマネジメント」に着目して、エネルギーが充足した状態が維持できる行動習慣を見つけていくアプローチをとることで、自主的に手軽に楽しく取り組めることも分かってきた。

小さな変化を受け入れたり、乗り越えたりする体験を重ねるうちに、新しい習慣が定着するまでの法則が見えてくる。こうして2ヶ月間で自分の習慣を変えるコツがつかめることで、プログラム終了時には、それぞれに生活や仕事でのコンディションやパフォーマンスの改善が感じられ、その習慣を自然に継続できるのが、このプログラムが支持される最大の要因となっている。

目的は「エネルギーマネージメント」

これまで難しいとされていた行動変容を実現する「ボディイノベーションプログラム」とは、どんな内容なのか。

プログラムは2ヶ月間で、5人〜10人のグループに、指導者が一人つく。2週間ごとの全5回のセミナーと、オンラインでのコミュニケーションで段階的に進められていく。

初回セミナーでは、まず「健康づくりは、基本的に一人ひとりが自由にやってるもので、やり方も自由でいい」ことや、「結果として健康にならなくても、人生や仕事をいい状態で臨めるようにするのための取り組みにしてほしい」ことを伝えるという。そしてプログラムは、「断捨離」「食事」「睡眠」「運動」と4分野について、順番に取り組んでいくことを説明し、それぞれの分野で3つずつの、自分だけの「パフォーマンスUP」習慣と、「パフォーマンスDOWN」習慣を見つけていくプロセスに入っていく。角谷さんはこう説明する。

「ここで目指すのは、『エネルギーマネージメント』。つまり、自分のエネルギーを無駄遣いする習慣をなくし、エネルギーが湧いてくる習慣を自分で見つけることなんです。その習慣は一人ひとり違いますので、自分で見つけることが一番です」

初回セミナーから最初の2週間は「断捨離」に取り組む。ここでは、まず自分のエネルギーを無駄遣いするモノやコトを見つけて、捨ててみる。例えば毎朝100本並ぶネクタイから1本を選んでいる人の場合、10本に減らすだけで、選ぶことにかけるエネルギーが節約できることになる。靴や洋服など日々使うものや、玄関や部屋の中、デスク周りも、参加者それぞれが自分で「いらない」ものを捨てていく。初回セミナーでは、この「断捨離」フェーズで行う、要らないものの見つけ方や、要らないものを一気に処分できるトラックの手配などまでをアドバイス。セミナーの後は、オンラインでコミュニケーションを続け、「こんなに捨てた!」「こんなにスッキリした!」と写真つきで投稿し合うなど、やりとりが盛り上がり、実行することが楽しくなっていく。

2回目のセミナーでは、最初の2週間でやった「断捨離」での振り返りを言語化するとともに、次の週間で見つける「食事」習慣についての説明と目標づくりをする。食事についても、何も強制せず、食事の量、内容、食べる順番、食事のタイミング、調理法などから、参加者一人ひとりができそうなことを見つけてもらうように促す。セミナー後は、再びオンラインでそれぞれにやったことを共有。「会社の近くにこんなヘルシーなお店みつけました」「ありがとう、私も行ってみる!」など情報を出し合ったり、感謝したり、励ましたり、褒め合ったり。いい習慣を継続することへの雰囲気が醸成されていく。

3回目のセミナーでは、食事についての振り返りと、次の2週間で行う「睡眠」についての説明がある。エネルギーの回復には睡眠が特に重要と、角谷さんが持つ上級睡眠指導士の資格も活かしてアドバイス。セミナー後は同様に、自分の眠りの質を高める行動をシェアしていく。

4回目のセミナーで、ようやく「運動」についての習慣を見つける段階に入る。運動やリカバリーについては、400本以上のオンライン動画を用意してあり、自分で楽しんで続けられそうな種目を選んで生活に採り入れられるようにしている。

最後の5回目のセミナーでは、改めてそれぞれが見つけた、自分だけの「パフォーマンスUP」習慣と「パフォーマンスDOWN」習慣をまとめて、携帯用のカードにまとめ終了となる。

各セミナー間、2週間ずつのオンラインコミュニケーションには、UMUというオンライン学習プラットフォームを活用し、担当する指導者がオンラインでもファシリテーションしていく。期間中1人4回は投稿することをルールにしているが、ほとんどの参加者が毎日のように投稿するようになり、それぞれが変化していく姿を楽しみながらシェアできることが、行動変容プロセスを後押しする。これがまさにグループプログラムならではの効果に繋がっている。

法人市場のニーズに変化

角谷さんは、2018年は「企業が、健康経営として期待していることが変わった年」だったと振り返る。

「数年前は、アプリやウェラブルなども活用しながら、より直接的で半強制的なアプローチで短期的な結果を重視したプログラムへのニーズがありました。でも、それでは効果が続かなかったり、そもそも健康な人しか取り組めないという限界を感じ始める企業様が増えています。また、企業が健康経営として目指す先として、『生産性向上』や『QOLの向上』が重視されてきていることも感じます」

「エネルギーマネジメント」をコンセプトにしたプログラムは、健康経営における企業ニーズの見直しが進むほどに受け入れられやすくなっている。そうして、これまで中小企業が中心だった顧客層が、2018年は大手企業の幹部グループや、大手企業と契約する個人事業主グループなどからの引き合いがぐんと増えたという。

今後は、プログラムをファシリテーションできる指導者育成を進めるとともに、オンライン学習へのAI導入などにより、ニーズの拡大にタイムリーに対応できる体制をつくり、より社会的なインパクトを高めていくことを計画している。

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