掲載日:2021年10月29日  更新:2021年10月30日

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健康二次被害を受けやすい高齢者に向けて、身体を動かすことの大切さを伝え続ける

女性専用サーキットジム「カーブス」を全国に約2,000店舗展開するカーブス。
ステイホームが長期化する中、健康二次被害を受けやすい高齢者に向けて、改めて、健康維持のために「運動をすること」「人と交流すること」の大切さを啓発するとともに、それを実践できる機会を創出してきている。
その経緯について、カーブスジャパン株式会社常務執行役員の齋藤光さんに訊いた。

安心な環境で運動が続けられる「おそとでカーブス」「おうちでカーブス」

健康二次被害についての 情報発信力を高める

カーブスでは、2020年4~5月の緊急事態宣言中に営業自粛をしたところ、わずか2ヶ月間で、参加者の体力低下と認知力低下が著しいことが、現場からの声として多く上がってきたという。同時期に、筑波大学の久野譜也教授をはじめ、高齢者の健康課題や介護予防分野の研究者の方々が「コロナ禍による健康二次被害のリスク」について情報発信を始めていた。
そこで、こうした研究者とともに、高齢者を顧客に持つ企業や、自治体にも声をかけコンソーシアムを発足。エビデンスとともに、「感染リスク」だけでなく、ステイホームが長引くことによる「健康二次被害リスク」にも理解を促し、高齢者自身やその家族、地域社会が、高齢者の運動継続について客観的に判断できるようになることを企図した取り組みをスタートさせた。

具体的な取り組みは、2020年5月に、カーブスが独自で久野教授らとともに健康二次被害のリスクと予防を啓発するコンテンツを制作。YouTubeや新聞広告で、広く発信したことに始まる。

2021年3月に「健康二次被害予防コンソーシアム」が発足してからは、有識者によるエビデンスの解説とともに、行き過ぎたステイホームを見直すことを啓発するリーフレットを制作。コンソーシアムとしてのネットワークと、カーブスメンバーの口コミ力を借りながら、啓発活動を続けている。
これまでにコンソーシアム全体で約1,500万人に情報を発信、カーブスメンバーを通じて400万枚にリーフレットを配布してきている。

感染予防を徹底して 安心して運動が続けられる場を提供

カーブスでは各店舗主体での取り組みも進めている。健康二次被害予防には、「運動」とともに「人と交流する」ことが重要であるという観点から、店舗での徹底した感染対策の実施と、その情報発信とともに、安心して運動が続けられる場づくりも進めてきた。

まずスタートしたのが、「おそとでカーブス」。十分なソーシャルディスタンスや換気が確保できるアウトドアの環境で行える運動を紹介することで、安心できる環境で、店舗同様に人とコミュニケーションしながらの運動が再開できる。

一方で、2020年4月の緊急事態宣言で営業が停止となり、社会的に「ステイホーム」が呼びかけられる中、カーブスでは、いち早くオンラインレッスン提供のための独自システムとアプリを開発。9月には「おうちでカーブス」としてリリースした。

利用者がスマホやインターネットの操作に慣れていないことに配慮して、Wifi環境やタブレットがなくても参加できるように、「おうちでカーブス」専用のタブレットも開発。画面上のカーブスのアイコンをタップするだけでオンラインレッスンに参加できる環境を用意して、既存のカーブスメンバーから参加を促していった。
カーブスメンバーが安心してオンラインレッスンに慣れることができるように、各店舗から、その店舗に所属するメンバーに配信し、顔見知りのコーチと、画面を通じて双方向のコミュニケーションがとれるライブレッスンとした。
レッスンの時間も、「おうちでカーブス」を利用するメンバーが以前店舗に通っていた時間に設定することで、同じ時間帯に通っていたメンバーとも交流ができる。コーチはメンバー一人ひとりの入会動機やそれまでの運動履歴なども踏まえて指導ができることから、運動の強度設定なども適切に行える。
運動の内容は、30分間で家でできる筋トレと有酸素運動のサーキットで構成し、新しい生活様式で習慣化しやすく、相応の運動効果が得られる内容としている。

宣伝広報の継続と、自治体との連携強化

コロナ禍による健康二次被害として特に課題となるのが「体力低下」と「フレイル」で、その進行は高齢者ほど速い。
そのため、カーブスを休会・退会したままになっている方や、地域で交流の機会を持たずステイホームを継続している方が、健康二次被害の影響を最も受けることになる。その方々に、いかに情報を届け、興味を持っていただけるかが大きな課題となる。

カーブスでは、新聞やテレビなどでの宣伝広報活動を継続するとともに、自治体の介護予防の取り組みや、地域包括支援センターをはじめ、地域の健康づくり支援ネットワークとの連携を強化して、高齢者のコミュニティや家族にアクセスし、適切な情報を届ける施策を展開していく。

「高齢者の方々の外出には、地域の人々や、家族の理解も必要となります。確かなエビデンスとともに、長期化する外出自粛による健康リスクに、社会全体としても目を向けていただきたいです。信頼できる情報とともに、高齢者それぞれが判断して、感染予防と健康的な生活習慣のバランスが見つけられる環境に近づけていきたいです」

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