掲載日:2022年01月07日  更新:2022年01月26日

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24時間ジム開業コンサルタントに訊く フィットネストレンド 2021-2022

2021年、コロナ禍で「総合業態」のフィットネスクラブが苦戦する中、「24時間ジム」が店舗数を伸ばし、「個室型パーソナルジム」も増えて、日本の小規模ジム市場がレッドオーシャン化してきている。
今後の市場動向とトレーナーのキャリアづくりについて、24時間ジム開業支援コンサルタントとしてこれまでに92店舗をプロデュースし、2022年にも16店舗以上の開業支援を進めている五十苅知博さんに訊いた。

「個室型パーソナルジム」の今後

五十苅知博さんは、かつてボディビルダーからフィットネストレーナーとなり、総合業態クラブのジムチーフなどを経て、現在はフィット
ネス専業コンサルタントとして活躍している。国内外のフィットネス業界の30年来の変遷を見てきた視点から、今後の個室型パーソナル
ジムの市場動向について訊くと、厳しい見解が返ってきた。

「個室型パーソナルジムは、今後競争力を失っていくと考えられます。というのも、提供しているサービスが、『バーベルトレーニング
と食事制限』で差別化しづらく、数ヶ月で成果が出たとしても、その後も継続していただくことが難しい。当初のパッケージ期間修了後に継続いただけたとしても顧客単価は低くなります。さらに、現状の集客方法がSNSやウェブ広告が主流で、新規の顧客獲得単価は高くなる一方です。パーソナルトレーニングが一般化することで、当初販売できるパッケージの価格も低くなる傾向にあることを見ても、今後、継続的なビジネスにしていくことが難しくなると考えられます」

「24時間ジム」の今後

同様に、2021年までに急増してきた24時間ジムについても、五十苅さんは厳しい見方をする。
「現状、24時間ジムの顧客は、40代以下の男性となっており、この層の顧客を取り合っている状況です。かつての24時間ジムは、70坪程度でカーディオマシンと、ウェイトマシンが中心で、フリーウェイトが少しという構成でした。近年はフリーウェイトエリアを広く確保する傾向が見られ、約100坪の施設が主流になっています。初期投資も1億円近くになってきています。その一方で、価格競争が始まっており、月当たりの客単価5,000円前後の戦いになっていて、大手チェーンでさえ生き残りが難しくなっていくでしょう。今後、24時間ジムで生き残っていくためには、女性や高齢者にも訴求できる施設構成と、初心者が運動を継続できる指導サービスがカギとなります」

五十苅さんは、24時間ジムの戦い方については、米国のエニタイムフィットネスをベンチマークしているという。米国でもエニタイムフィットネスは24時間ジム業態の先行企業で、その後、プラネットフィットネスをはじめ低価格の24時間ジムが乱立した。その中で高い競争力を保ち続けてきた要因を踏まえ、24時間ジムが今後とるべき施策についてこう説明する。

「入会後初期の段階で、継続に繋げる仕組みと、付帯収入を上げる仕組みをつくることが重要です。月会費で受けられるグループセッションや、プチ料金で受けられる指導サービス、そこからパーソナルトレーニングへと導ける仕掛けを用意します。そのうえで、パーソナルトレーナーには固定給+歩合給の契約形態を準備し、専属トレーナーとして活動してもらえるようにします。それにより、お客さまも、トレーナーも、ジムも、継続的にWin-winの関係が築けます」

女性や高齢者向けにも訴求できるアイテムとして、五十苅さんが注目するのが、リフォーマーピラティスである。今後プロデュースする24時間ジムには、リフォーマーピラティスを複数台設置し、インストラクターも育成することで、マットピラティスや機能改善のトレーニン
グサービスも提供できることになる。女性や高齢者のメンバーにも長く継続していただき、かつパーソナル指導など付加価値の高いサービスに繋げることができる。

「総合業態」の今後

コロナ禍での営業制限に加えて「個室型パーソナルジム」「24時間ジム」をはじめ様々な小規模コンセプトジムが増える中で、競争力を失っている「総合業態」だが、五十苅さんは大きな投資をせずとも生き残る策はあると話す。
その施策の一つが「ホームページの切り分け」だ。生活者の情報収集ルートが、スマホになってきている昨今、総合クラブでも、アイテムやプログラムごとにホームページを切り分けて、訴求していくことがまず必要だと話す。

「総合クラブは、百貨店のマーケティングを学ぶべきです。生活者が、ブティックスタジオを探しているところに、スイミングスクールの写真が表示されてしまうと、情報のミスマッチが起こってしまう。現状では、総合クラブの見え方は、『百貨店』というより『ドン・キホーテ』。働く人も、たとえば同じ化粧品店で働くなら、『ドン・キホーテ』よりも『百貨店』で働きたいですよね。総合クラブは、働く人を惹きつけるためにも、施設アイテムごとの体験価値をアピールすべきです」

総合クラブでも、百貨店的マーケティングと、入会初期から段階的にエンゲージメントがつくれるオペレーションをしていくことで、競争力を取り戻すことができる。それができれば、総合クラブの広さやアイテムの多様さは、小規模クラブと十分に差別化できる強みになると五十苅さんはエールを送っている。

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