グローバル・ウェルネス・サミット(GWS)は、ニューヨークで開催されたプレスイベントで、毎年恒例の世界トレンドレポート「The Future of Wellness 2023 Trends」を発表し、2023年のウェルネス市場に影響を及ぼす12の主要トレンドを特定した。
主な内容としては、科学的裏付けのある製品や治療法への関心の高まりや、個人の体験よりも地域や地球の健康を優先するコレクティブウェルネスへの注目の高まりが挙げられる。
GWS会長兼CEOのスージー・エリスは、次のように述べている。
「2019年は、超消費者主義で、ウェルネス商品やサービスが溢れかえり、エビデンスに欠けるトレンドが存在していました。2023年のレポートを見ると、わずか3年前のウェルネス市場が突然古臭く感じられていることがわかります。今後のウェルネスは、より本質的で科学的な裏づけがあり、社会的な配慮があるものになるでしょう」
12の主要トレンドは下記の通り。
①ウェルネス+コミュニティ
孤独や社会的孤立が心身の健康や寿命に影響を及ぼすなか、ウェルネス業界は、世界中の成人の約33%が孤独を感じているというトレンドに対応する方法を模索している。
GWIのリサーチ・予測担当バイスプレジデントであるベス・マクグローティは、
「ウェルネスの最大のトレンドは、人々が実生活で、創造的かつ意図的に集まる新しい空間や体験を開発し、社会とのつながりを概念の中心に置くことです」と述べている。
地域で人々の集いの場となるソーシャルウェルネスクラブは、健康やウェルネスを体験できる場所を提供し、地元のバーに代わる存在になっていく。
②ウェルネス+旅行
ディズニーのような世界的な体験とは対照的に、地域の自然や文化に根ざしたウェルネス体験サービスが中心的な役割を果たすようになる。
本物志向の高まりにより、旅行者はより深い文化的体験を求め、古代の癒しと知識の源に触れ、地域社会と自分自身をいかにケアするかを学ぶことに関心を示している。
③ウェルネス+職場
燃え尽き症候群の増加や、大量辞職など、職場におけるウェルネスへの取り組みはそれほど効果的ではなかった。
その結果、職場のウェルネス施策が改めて見直されている。
全社的な長期休暇や、勤務時間外の電子メールの「切断権」まで、職場ウェルネスの改革が始まっている。
④ウェルネス+ビューティー
パンデミックが教えてくれたことは、科学的根拠が重要であるということ。
そして、その考え方は美容分野にも受け継がれ、エビデンスに裏打ちされた製品へのシフトが進んでいる。
⑤ウェルネス+都市
地域の健康とウェルネスに対応する、ウェルネスインフラに注力する都市は、より良い成長を遂げることができるだろう。
例えば、シンガポールは、政府が「アーバン・ウェルネス」の実現に力を入れている。
他の都市がこれに続くかどうか、注目したい。
⑥ウェルネス+体重
長寿のための最善の方法の1つは、すべての脂肪が同じように作られるわけではないことを認識することだという。
体内の余分なエネルギーを蓄積する白色脂肪に対して、褐色脂肪はミトコンドリア密度が高くカロリーを多く消費する。
代謝を上げるには、冷温療法と断食が効果的であることも研究により明らかになっている。
⑦ウェルネス+ガバメント
健康やウェルネスを向上させるための政策を導入し、推進する政府が増えている。
健康的な食事キャンペーンから生物多様性の保護、ワークライフバランスの取り組みまで、ウェルネス政策は地域コミュニティを強化し、真の変化をもたらす力がある。