掲載日:2021年06月25日  更新:2021年10月07日

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NEXT AWARD トレーナー・インストラクター オブ・ザ・イヤー 2014

フィットネス・トレーニング指導者の活動範囲を広げ、広く業界と社会に貢献する活動を称えるネクストアワード『トレーナー・インストラクター・オブ・ザ・イヤー』2014の受賞者が決定!
フィットネス・トレーニング分野で高い価値を生み出している各受賞者の活動内容を紹介する。

癌の治療は術後5年が目途とされているが、2014年で5年を迎えた高橋さんは、「改めて夢を持てるようになった」と話す。そして、その夢とは「3年バカ計画」。とにかく「こいつバカだなぁ」と思われることをやろうという計画だと話す。

具体化していることの一つが、「イタリア留学」。以前イタリアリミニに短期留学をして以来、いつか長期留学を果たしたいという気持ちを持っていた。その後もイタリアとは様々な縁があり、イタリア行きを実現する環境は整いつつある。イタリアに行って、日本生まれのフィットネスやエクササイズを紹介したいと夢膨らませる。

もう一つは「フラッシュモブ」。フラッシュモブとは、もともとインターネットやクチコミで不特定多数の人々が申し合わせて、雑踏の中の通りすがりを装い公共の場に集まり突如としてパフォーマンス(ダンスや演奏など)を行うもの。

「メンバーさんと一緒にやれたら楽しいなって、ひそかに計画中なんです」

そして、ピラティスインストラクターとしての勉強にも、さらにお金と時間の投資をしていく計画だ。

「私は母の背中を見て育ってきましたが、その母も、祖母から『人を教えるためには自分も常に習っていないとだめ。勉強を続けなさい』と教えられたと良く話してくれます。母は、現在も仕事も現役で、ダンスをはじめ母自身のレッスンも続けています。私が仕事で出会った尊敬する教育トレーナーの先輩方も、常に広い分野のことを学び続けている方ばかり。私もそうあり続けたいと思います」

これまで5年間、自身の命や役割と向き合い、真摯にそれを全うしてきた高橋さん。だからこそ「生きること」「つながること」の大切さが伝えられる。2015年から再び新たな夢に向けたチャレンジがスタートする。

高橋亜紀さん Aki Takahas
1976年2月28日生まれ。P.A style代表。神奈川県体力づくり体操連盟理事。地域での高齢者指導をはじめ、スポーツクラブにてピラティス・ダンス系プログラムのレッスン、パーソナルトレーナーとして活動中。養成業務やレッスンを通してしなやかな心とカラダ作りを提案。シナプソロジーアドバンス教育トレーナー、JCCAひめトレ教育トレーナー、ポールスターピラティスインストラクター、リトモスオフィシャルトレーナー、ポルドブラインストラクター。

受賞理由
子育てや介護と仕事との両立は、現代の女性が共通に抱える大きな課題である。その中でも、力づよく役割を全うしつつ、自身や家族の闘病生活で学びを深め、それを仕事に活かしていることが、多くの縁を呼んでいる。全力で日々を生きる真摯な姿勢が高く評価された。

MUST ITEM!
仕事と子育ての両立には欠かせない車とiPad。そしていつも行動を共にしている手帳と、パーソナル指導で使用するエクササイズギア

写真
①インストラクターとしての活動の原点で、現在も大切にしている高齢者サークル。年に2回の食事会ではレッスン以外のお話がたくさん聞ける楽しい時間

②高齢者サークルレッスン風景

③シナプソロジー教育トレーナーとなり、様々な方と繋がることができ、学びや刺激が増えた。養成講座前に教育トレーナー・ディレクターとパチリ

④母と妹のサポートなしでは今の活動は成り立ちません。19年前、親子3人でダンスのステージに立っていた頃の写真

高橋さんのこれまでの仕事人生グラフ

プログラムディレクター部門 最優秀賞 石川善樹さん(34歳) campus for H 共同創業者 / 医学博士

「Di理論」と「つながりづくり」で、21世紀の新たな健康づくりを提言

2014年、彗星のごとく各種メディアに登場し、人々にとっても、フィットネス業界にとっても、非常に有益な、全く新しい健康情報を発信する石川善樹さん。予防医学研究者・博士であり、行動科学研究者である。膨大な知識と研究からの知見を、非常に分かりやすく伝える、新進気鋭の研究者だ。その、石川さんが、2014年に発表したのが、“リバウンドしない”ダイエットの目標設定方法「Di理論」と、ウェイト・シミュレーター。そして、自身の書籍『友達の数で寿命はきまる』で提言した、「健康に最も影響するのは、
“つながりがあること”」という全く新しい考え方。それぞれについて、簡単に解説しよう。

リバウンドしない革新的ダイエット

まず、「理論」は動的エネルギー配分理論(Dynamic Energy Partition Theory)に基づき、ダイエットを「減量期」と「維持期」に分け、その人の年齢、性別、身長、体重、体脂肪率、職場での活動、休日の活動など、その人のプロフィールから、適正な減量の目標設定ができるもの。これまでの各種ダイエット理論と特に違うのが、「維持期」に着目して、すべてを構築している点である。そのことについて、石川さんはこう説明する。

「私はこれまで国の健康施策に関連する研究も数多くしてきていますが、肥満については、他の生活習慣病の原因にもなりやすいことから、世界的に国家的な取り組みがなされています。人々の“ダイエット”への関心も大きいことから、常に様々なダイエット法が話題を呼んでは消えていきます。ただ、このダイエット法は、残念ながらこの2000年間、目立った成果を上げる方法が見つかっておらず、イノベーションも起こっていない。その原因は減量期だけに着目していることによる『リバウンド』。これまでのダイエット法の98%くらいは、結果的にリバウンドしてしまう方法ばかりでした。みなさんご存じのとおり、リバウドするたびに次のダイエット効果は得られにくくなり、肥満体質に近づいてしまいます。よかれと思って行う提言や指導が、実は人々の健康を害してしまっているのではないかと思ったんです。そこでどうしたらいいんだろうと考えた時に、『痩せるということは、体重を減らすことと、キープすることの組み合わせ』という極めてシンプルな構図に気づきました。これまでのダイエット法は“キープする”部分が抜けていたんです。さらにこれまでの様々な研究から『体重を減らすのは食事制限、維持するのは身体活動が効果的』というエビデンスは十分得られていますので、それぞれの人が目指す体重を維持するうえで、どのくらいの身体活動が必要なのかを先に見つければいいと考えたんです。維持することを前提にした減量をすることで、リバウンドしないダイエットができるわけです」

このDi理論に基づいた、適切な各種の目標数値は、表1にある複雑な数式で算出できるという。この数式は、同様の問題意識から、アメリカ国立衛生研究所(NIH)のケビン・ホール博士らが2011年に開発したウェイト・シミュレーターに組み込まれているもの。今回石川さんが開発したウェイト・シミュレーターは、これに日本人の代謝特性や生活特性などを加味し、さらにきめ細かい算式を組み込んだという。

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