掲載日:2023年05月02日  更新:2023年04月27日

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成長する世界のウェルネス市場

コロナ禍をきっかけに、身体の健康はもとより、心の健康にも目を向ける人が増え、世界的にウェルネス市場の成長性が注目されている。フィットネス事業者にとっても、新たなビジネスチャンスとして、新たなサービスが開発されている。本稿では、ウェルネス市場について、グローバル・ウェルネス・インスティテュートのレポートをもとに、詳解する。

 グローバル・ウェルネス・インスティテュート(GWI )は、ウェルネスを「全人的な健康状態につながる活動、選択、ライフスタイルを積極的に追求すること」と定義している。この定義によれば、ウェルネスは受動的な状態ではなく、意図、選択、行動と関連した「能動的な追求」である。また、ウェルネスは身体的な健康だけでなく、精神的、感情的、霊的、社会的、環境的な側面を含む多くの側面を含んでいる。
 ウェルネス経済には、消費者がウェルネスの活動やライフスタイルを日常生活に採り入れることを可能にする産業が含まれる。GWI の推定では、世界のウェルネス市場規模は、 2017年の4.3兆ドルから2019年には4.9兆ドルへと年6.6%成長し、世界経済成長率(4.0%)を大幅に上回る成長率を見込んでいた。だが、コロナ禍により2020年には、ウェルネス市場規模は11.0%減少して4.4兆ドルとなっている(一方、世界のGDPは2.8%の減少)。
 世界的にみると、2020年時点では、アジア太平洋地域のウェルネス市場が最も大きく(1.5兆ドル)、次いで北米(1.3兆ドル)、欧州(1.1兆ドル)となっている。この3地域を合わせると、世界のウェルネス経済全体の90%を占めている。

成長するウェルネス市場、11分野

 ウェルネス市場には、以下に定義する11の分野がある。市場規模順に紹介する。

①パーソナルケアと美容

 美容・サロンサービス(スパを除く)、スキンケア、ヘアケア、ネイルケアサービスおよび製品など、外見に関する健康と美容、アンチエイジングに対応する製品およびサービスへの消費者支出を含む。

②健康的な食事・栄養、ダイエット

 ビタミン、栄養補助食品(ハーブ/伝統的な製品を含む)、スポーツ栄養製品や、健康表示食品・飲料などの商品。および減量のためのカウンセリングや、ダイエットセンター、疾病予防の食事指導などが含まれる。

③身体活動とフィットネス

 レジャーやレクリエーションで意図的に行う身体活動に関連する消費者支出。レクリエーション活動の3つのセクター(スポーツ・アクティブレクリエーション、フィットネス、マインドフルムーブメント)および3つのサブセクター(テクノロジー、機器・用品、アパレル・フットウェア)が含まれる。

④ウェルネスツーリズム

 ウェルネスツーリストが行うすべての支出(一次および二次、海外および国内)の総計。宿泊、飲食、アクティビティおよび体験、ショッピング、国内交通機関への支出を含む。

⑤代替医療

 ホメオパシー、自然療法、オステオパシー、カイロプラクティック、鍼灸、中国伝統医学、アーユルヴェーダ、ユナニ医学、エネルギー療法、伝統/ハーブ療法、サプリメントなど。

⑥予防医療、オーダーメイド医療、公衆衛生

 定期的な健康診断、診断およびスクリーニング検査、遺伝子検査など、「健康な」人々の治療、病気の予防、または危険因子の発見に焦点を当てた医療サービスへの支出が含まれる。

⑦ウェルネス不動産

 住宅や商業施設の建設にかかる支出で、デザイン、素材、建物、アメニティ、サービス、プログラミングに意図的にウェルネス要素を採り入れたもの。

⑧メンタルウェルネス

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