掲載日:2023年06月06日  更新:2023年05月23日

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民間投資による地域スポーツ環境の充実も実現する うるま市の、部活動の地域移行

うるま市(沖縄)は、沖縄県の中心部東側に位置し、人口は約12.6万人で、緩やかに人口減少と少子高齢化が進んでいる。
2017年からいち早く、部活動の地域移行に向けた取り組みをスタート。これをきっかけに、民間投資による学校と地域スポーツ環境整備に取り組み、2023年度から本格的に始まる部活動の地域移行に合わせて、学校体育施設の指定管理制度導入を検討する。

うるま市で、2017年から部活動改革を支援しているスポーツデータバンク株式会社の石塚大輔さんは、その経緯をこう説明する。

「部活動の地域移行は、先生に代わる指導者や運営団体の確保に視点がいきがちですが、持続可能性の高いスキームにするうえでは、スポーツ庁からの予算以外に継続的に財源が確保できることの重要性を感じました。
そこで、うるま市では、教育委員会だけでなく、経済産業部観光振興やスポーツ課など担当する首長部局とも連携しつつ、人材コーディネートと、財源確保を含めた事業設計、プロデュースを進めてきました」

指導者人材のコーディネートについては、地域のプロスポーツチームや、クラブチーム、スポーツクラブなどのコーチやトレーナーなどで人材バンクをつくり、地域指導者としての基本的な教育研修をするなどで、育成を進めている。

DXによる部活動運営体制の効率化

体育館施設にスマートロックと
クラウドカメラを設置して、
館内の利用状況や
安全管理もできる体制を整えた。

また、DXによる部活動運営体制の効率化も進めている。体育館施設にスマートロックを導入し、指導者が鍵の開け閉めを管理できるようにするとともに、クラウドカメラを設置して、館内の利用状況や安全管理もできる体制を整えた。
また、予約システムを導入して、体育施設の利用予約や、利用者の参加予約の受付などもできるようにしている。

財源確保の取り組みとしては、地域企業からのクラウドファンディング、企業協賛、企業版ふるさと納税などがある。地域企業からは、「部活動応援基金」として、地元の商工会や観光協会などを通じて、一口数万円で協賛金の募集を予定。地域外企業からの協賛では、三井住友海上火災保険株式会社からの協賛を得て、指導者育成システムの構築を実現した。企業版ふるさと納税では、2022年に1,500万円を調達した。これにより、部活動指導者の1時間あたりのフィーが、スポーツ庁予算でやりくりする場合、時給1,500円程度が相場である中、うるま市では倍の時給3,000円を実現している。

2023年からの部活動の地域移行をさらに財源面でも後押しするスキームとして、5月から検討をスタートするのが、学校体育施設の指定管理制度の導入である。うるま市には、中学校が10校あるが、そのうち離島にある1校を除く9校において、部活動の地域移行のスキームを導入しつつ、体育施設の施設管理や運営管理にデジタルを導入して、健康教室やスポーツ教室をはじめ、市民に向けた健康サービスを事業化していく。

「学校施設は、学区ごとにありますので、市内の誰にとってもアクセスしやすい場所にあることから、健康まちづくりに有効に活用できます。今後、こうした民間投資による学校や地域スポーツ環境の充実が図れることで、部活動の地域移行も進み、子どもたちのスポーツ環境を地域で支えることができ、持続可能性の高い経済循環が生まれていきます」

スポーツデータバンク株式会社 代表取締役 石塚大輔さん

これまで、日本各地50 の自治体での部活動の地域移行をきっかけとした健康まちづくりをサポートしてきています。
学校や部活動の数、子どもの数によって、学校を超えた地域連携での取り組みも各地でスタートしています。
部活動指導者の確保に留まらず、地域のスポーツ環境づくりの視点でスキームを構築していくことが大切です

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