掲載日:2024年02月14日  更新:2024年02月16日

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スポーツ再生医療がもたらす アスリートの障害予防と、スポーツ産業発展への新たな可能性

琉球大学において、幹細胞治療を通じた再生医療をアスリートの障害予防に応用することで、スポーツ産業の発展に繋げようとするプロジェクトが推進されている。

「スポーツ×再生医療@沖縄」プロジェクトについて清水雄介さんにお話を訊いた

スポーツ再生医療

「再生医療」とは、これまで修復できないとされていた組織を再生する医療です。トレーニング指導をされている方でしたら、例えば「靭帯は一度伸ばしてしまうと、元通りにはならない」と言われてきたと思いますが、その靭帯も再生医療により修復できる可能性がある医療というとイメージを掴んでいただきやすいと思います。
また「再生医療」には、「炎症を抑える」という効果もあり、組織の炎症を抑えることで、痛みを緩和したり、痛みをなくしていく効果も認められています。

―具体的に、再生医療による治療とはどの ようなものですか?琉球大学で進めている脂 肪幹細胞の特長も教えてください

「再生医療」には、臨床応用の難しさに応じて第一種から第三種の3つの種類があります。これまで日本でも最もよく用いられているのが「PRP」療法です。琉球大学で着目している、脂肪幹細胞をもとにする方法は、腹部や大腿から採取した脂肪を、1ヶ月程度培養して、患部に注入する方法です。脂肪幹細胞は、骨や軟骨などの組織に分化する能力を持つことから、さまざまな障害の治療に応用できる可能性があります。これまでに琉球大学では、この培養した脂肪幹細胞を医薬品や化粧品の原料として流通できるシステムのベースを構築しつつあります。これにより、将来的には、自身の脂肪を採取しなくても、脂肪幹細胞による再生治療が可能となり、多くの方が手軽に利用できるようになることで、再生医療の産業化への可能性が見えてきています。

トレーニング指導者にとっての、スポーツ 再生医療が拓く新たな可能性とは

トレーニング指導者が日々向き合っているアスリートやクライアントは、日々さまざまな痛みを抱えていると思います。また、ジュニアアスリートや、出産後や更年期の女性アスリートなど、成長段階や加齢による骨格の変化が、痛みや障害に繋がっているケースも多いと思います。再生医療は、こうした痛みを緩和するとともに、長期的に身体組織をいい状態に保つ方法として、トレーニング指導時のアスリートへのアドバイスの引き出しの一つとして持っていただくと、選手寿命の延伸にも繋げられます。痛み障害を繰り返さないために、ファンクショナルトレーニングと併用することで、より根本的な機能障害予防に繋げることができます。また、まだ痛みや障害は出ていないものの、弱くなっている筋肉や腱、靭帯などの組織を補強することで、新たなケガや障害から守る、予防医療としても可能性が広がります。

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