掲載日:2021年11月01日  更新:2021年11月01日

NEW

究極の介護予防は「現役でいること」。高齢者トレーナー育成の可能性

「ジェクサー」ブランドのフィットネス施設を全国に38店舗展開するJR東日本スポーツは、2013年からデイサービス「プラチナジム」を7店舗に拡充してきた。その中で、80歳になったときの介護度が低い方々の共通項が「社会貢献」であるとして、その機会を拡げるべく「大人のパーソナルトレーナー養成講座」を開講する。
同年代の指導者がフィットネスを啓発することで、共感が得られて継続率も高まることが期待される。

80歳代まで現役活動「大人のパーソナルトレーナー養成講座」

究極の介護予防は「現役でいること」

JR東日本スポーツ株式会社は、2021年10月の緊急事態宣言解除を目前に、「大人のパーソナルトレーナー養成講座」の開講を発表。
40~70歳の人をパーソナルトレーナーとして育成し、コロナ禍による健康二次被害の影響を受けやすい高齢者層への指導サービスを拡充していく。この養成講座の開発経緯について、事業推進を統括する多田厚さんは、こう説明する。

「『プラチナジム』に通われる利用者の中に、80歳代でも元気な方々がいらっしゃって、その中で共通しているのが『現役を続けている』ことです。早々にリタイアして悠々自適な生活を送るよりも、現役を続けて『ありがとう』と言われる機会があることのほうが、心身ともに健康で豊かに生活できることに繋がっています。
この大人のパーソナルトレーナー養成講座の企画は、高齢化社会における介護予防の観点から2019年頃にスタートしましたが、コロナ禍で、高齢者の方々が2ヶ月のステイホームで機能低下が加速したことを目の当たりにしてさらに必要性を感じ、リリースに至りました」

パーソナルとスクール指導で大人世代のコミュニティづくりにも期待

この「大人のパーソナルトレーニング養成講座」は、月3回×5ヶ月間、全60時間のカリキュラム。
ジムトレーナーとして、トレーニングのサポートや、カウンセリングからトレーニングメニューの作成、マンツーマン指導、スモールグループの指導までが行えるようになる。
特に同年代の高齢者の心身の課題に合わせた指導ができるようにトレーニング理論や接客・指導技術が学べる。
募集対象は、トレーニングを通じて成功体験を持つ40~70歳代の方々。実際に第1回目の講座に申し込んでいるのは、48~68歳までの方々で、男性が6割となっている。受講料27.5万円(税込)で募集しているが、問い合わせも多く大盛況となっている。
養成講座を修了した方々には、業務委託としてジェクサーで指導を行ったり、ジェクサーでコロナ禍にスタートした初期定着プログラムのスモールグループプログラム「グルトレ」の担当を任せるなど、仕事の機会も提供していく。

コロナ禍で露呈した総合フィットネスクラブの課題に、「コミュニティ」や「エンゲージメント」の強化があるが、この分野での活躍も期待される。
「特に高齢者の方々にとって、コミュニティやエンゲージメントは大切ですが、それを実現できるスタッフの育成は、かなり難易度が高いとも感じています。そこで、同年代の高齢者がトレーナーとして活躍できれば、その豊富な人生経験から共感を得やすく、コミュニティやエンゲージメントがつくれるチャンスは大きく高まります」

クラブにとっても、業務委託契約としていくことで、経営的な負担も少ないため導入機会もつくりやすい。
ニーズの拡大に応じて受け入れ体制も拡大しやすく、「大人のパーソナルトレーナー」の活躍をサポートしやすい。

健康二次被害予防のために 「フィットネスの環境を提供し続ける」

ジェクサーでは、健康二次被害予防施策として、感染予防に十分配慮したうえで、フィットネスができる環境を広げていくことを重視している。既存店では、営業時間を長く確保し、新規出店も積極的に行っていくことを計画している。
また、新業態開発により、多様化するニーズにマッチするブランド展開を進めていく。

「健康二次被害は、高齢者だけでなく、ジェクサーで落ち込みが大きかったF1層(20~34歳の女性)や、リモートワークが浸透した就業者層でも、体力低下や免疫機能低下、ホルモンバランスの乱れなどが課題になってくるでしょう。
オンラインやホームフィットネスが広がる中、筋トレや有酸素運動を効果的に行える場所や、双方向のコミュニケーションでフィットネスを安全かつ効果的に行える場のニーズは、今後高まることが予想されます。
フィットネスクラブ業界から、フィットネス業界へとドメインを広げて事業を展開し、選ばれる存在であり続けたいです」

8 件中 1-8

  • 1