トレーナーと将来のトレーナーに夢を与えるべく、名古屋でスタジオを経営しながら
フィットネス業界を盛り上げる役割を担う高橋順彦さん。利用者のニーズに応えるレッスンや若手トレーナーの育成など、その活動の幅は広い。

トレーナーと経営の仕事に興味を抱いたのが僕の原点今はフィットネス業界全体の発展も視野に入れて活動中です

現在、名古屋でパーソナルトレーニングスタジオナノを経営しながら、自らもパーソナルトレーナーとして活動している高橋順彦さん。二つの顔を持つ彼にその原点を尋ねてみると、「すべては学生時代からです」との答えが返ってきた。

「10代の頃からトレーニングが大好きで、その一方で経営にも興味を持っていました。その二つを重ね合わせたら、おのずと今の仕事が見えてきたんです。特に大きなキッカケとなったのは、大学のアメフト部に選手として在籍していた時に、選手とストレングスコーチを兼任していたことでした。当時68kgだった体重を100kgまで増量し、その方法論を後輩たちに教えたところ、とても喜ばれたんです。その時、人に何かを伝える楽しさというものを実感しました」

その後、高橋さんはトレーナーとしてのスキルアップと経営力を身につけるため、二つのフィットネスクラブで10年ほど経験を積んだ。そして07年、現在のスタジオをオープンさせた。

「ゼロからのスタートでした。ただ、当時は名古屋でパーソナルトレーナーであることを全面に打ち出して展開されている方が少なかったんです。そこで僕はホームページなどを充実させ、自分の存在を多くの方に知ってもらうことで、少しずつクライアントを増やしていくことに成功したんです」

高橋さんがホームページを作る際にこだわったのが、一般生活者に“そもそもパーソナルトレーニングとは何か”を分かりやすく説明すること。

「僕らが何者なのかをよく知ってもらうことで、利用者も“自分が何を求めているのか”を明確に理解することができるんです。世の中には運動をほとんどしてこなかったという人が大勢います。ですからトレーニング内容についてもそうした方と同じ目線に立ち、一緒に目標に向かっていくことが大事なのではないかと思うんです」

その結果、会員数ゼロで始まったスタジオレッスンも現在は月に100本のセッションを持つほどになり、無料体験コースを経ての契約率も9割を超すようになったという。

こうして着実に業績を伸ばしてきた高橋さん。その彼に昨年、大きなターニングポイントとなる出来事があった。10月に開催した『名古屋フィットネスフェスタ』の成功だ。

「じつは以前からトレーナー仲間と集まって『名古屋トレーナー勉強会』という会合を行っていまして。そのメンバーの有志12人で開催したのが運動指導者向けのイベント『名古屋フィットネスフェスタ』でした。このイベントには100名以上の方に参加していただき、東海地区の運動指導者のスキルアップと交流の場が創出できたと実感しています」

また、こうした地域活性活動以外にも、高橋さんは若手の育成にも力を入れている。昨年から開講した『nanoパーソナルトレーナー養成コース』もその一つだ。

「指導力と人間力にあふれるトレーナーをたくさん育てていきたいという想いがあるんです。我々指導者が魅力的に見えれば、きっと指導を受ける方にも幸せを感じてもらえるはずですから。この養成コースはすでに3期開講し、20名のパーソナルトレーナーを輩出することができました。今ではそうした卒業生たちと一緒に仕事をする機会も増え、新たな広がりができていることにも嬉しさを感じています」

そのほかにも、運動指導を求めている人とトレーナーとの出会いの場を提供するランニングイベントや、これから運動を始めたい人を対象にしたワークショップなども随時開催。

「まずトレーナーという仕事の認知度を上げ、いかに素晴らしい職業なのかということを広めていきたいんです。そのための活動をこれからもどんどん行っていきたいですね」

高橋順彦さん
Norihiko Takahashi
株式会社 nano 代表取締役。パーソナルトレーニングスタジオナノ代表。毎月、自身のスタジオで運動指導者向けの勉強会および交流会『名古屋トレーナー勉強会』を開催。これまでにのべ517名が参加した。また昨年10月には有志12人で企画した指導者向けイベント『名古屋フィットネスフェスタ』を開催し、100名以上が参加するなど大成功を収めた。

受賞理由
●トレーナーとしての活動も充実させながら、トレーナーを育て、トレーナーをプロデュースする役割をすでに実施している。
●名古屋のフィットネスインストラクター・トレーナーを巻き込んだ勉強会やフィットネスフェスタを成功させている。

Must Item
手帳。やならければいけないこと、実施したことを分けて見やすく管理。経営・トレーニング・企画・取材対応など多種多様の業務をこなすための、まさにマストアイテム。

写真
①大学アメフト部時代。今より体重は30kg以上多かった。独自にトレーニングを学び、部員にも指導していた頃。一方で将来独立することも常に考えていた。

②(左)『名古屋トレーナー勉強会』では、月に1回テーマを設けて実施。
(右)笑顔の写真は、勉強会でも活躍するNanoのトレーナー。最高の仲間です。

③女医とトレーナーが健康について話すトークライブ。コラボレーションやイベント企画を常に心がけている。

④『名古屋フィットネスフェスタ』の1コマ。有志を募り事務局が発足。藤原一也さん(P.17)と中心となって大成功を収めた。

高橋順彦さんのこれまでの仕事人生グラフ

仕事環境を変えることと、「愛のある平和な世界」づくりを目指し、数々の目標を立て実行してきた今井公一さん。
その成功の裏にはスキルアップ以外にもいくつもの努力があった。